海上船内物語




「私、アキに前言ったよね。私を死神船に入れたら、後悔するって。」

「あぁ、言ってたな・・・・」


部屋を灯す蝋燭が、ちろりと揺れた。



「ねぇ、聞いて。


あのとき、ガルフを殺したのは、わたし」



アキの目が見開かれる。

一歩下がって、カイルを舐めるように見回す。


「・・・・・・殺した・・・・・・?!書いてあることと違う!」

「それは、アランが書いた。

海賊狩りの最高峰である、死神船の船長を殺したんだよ?

勿論、将来私の命が狙われる、ってアランは思ったんじゃない?

だから、ガルフを殺したのは自分だって見せかけたんだ」


カイルは俯いた。

そして、黙り込んだままのアキに続けた。


「つい最近まで、覚えてなかった。だけど、私が海賊側にいたとき、聞いちゃったんだ。

兄ちゃんとアランが話してるのを、偶然聞いちゃって、思い出したんだ」


ゆらりと揺れていた蝋燭の揺れが、収まる。

カイルは顔を上げた。



「多分、私そのとき九歳だった。何故か、そこのところだけあんまり覚えてなくて、それからアランが、外に出してくれなかったのは覚えてる」


もう一度、カイルは俯いた。