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「・・・・・おい、何をしてるんだ」
ベランダの窓を開けて、不可解そうにカイルを見下ろすアキ。
「あ・・・・・・え、寝ちゃってた?」
「あぁ。熟睡だな」
カイルは起き上がる。
アキは溜め息をつきながら、その様子を見ていた。
「・・・一階に行ってたんだね。久しぶりにみんなと会ったでしょ?」
「あぁ。それで戻ってきたら、ベランダでお前が寝てるんだ。寝床はあるだろう」
「違うんだって、外の空気でも吸おうかなぁ、って思ってたら寝てた」
お前は子供か、と再び溜め息をつきながら、アキはカイルがベランダから出ると、窓を閉めた。
はめ込みの悪い木枠が、がたがたと鳴る。
「で、なんでここにいるんだ」
アキが眠たそうな顔を、カイルに向ける。
それに笑顔で応えて、カイルは布で隠れている壁の前に立った。
「前さ、アキ、私を隠し部屋に入れたでしょ?あのとき、あの部屋に血痕があった」
「あぁ、あるな」
カイルはゆっくり、布を捲くり、壁を押す。

