「操舵、するか。」

「は?」

「そこに舵があるだろ。お前がやれ」


アキは突っ立っているカイルを正面に向かせると、舵をカイルに握らせた。


「ちょ、ちょ、ちょっ待って、何で!?」

「あぁうるさい。船が道を外れたら軌道を修正するだけでいい。それができんのか。一応海賊の娘なのだろう?」

「やったことない!第一、私は止めに来て・・・」


ぽん、とアキはカイルの頭の上に手を乗せた。



「やってみせろ。」

「ええええ?!」


ぐらり、と船が揺れる。

バランスを崩したカイルが、舵に額をぶつけた。


小窓から見える海は、船より高い波が立っているのが窺える。



「なんで、こんな海に・・・・」

「文句を言うな。」


アキは椅子に座ると、足を組んでそのまま俯いた。


「あれ?アキ?」


返事は無かった。


(・・・・・・・・・寝た、・・・・・・・・・。)


カイルは項垂れながら、舵に向き合った。