海上船内物語




「・・・・・・・・すごい汗。なんの夢見てたの」


白い指が、頬に触れる。

無垢な瞳が残酷にシーザを見上げた。



「・・・・・・・・・・・・・別に・・、」

「怖い夢?私今日、タコに食べられる夢見て、泣きそうになった」

「・・・・・・・・・・」


シーザの顔が緩む。

その顔を見て、カイルが笑顔をこぼした。



「・・・嫌な、夢・・・・・・・」

「いやな夢?」

「あぁ。たまに見るんだ」



シーザが苦笑をカイルに向けた。



「・・・・・・夢は、絶対覚めるから、大丈夫だって。起きたら何も残らないでしょ?」


幼さが残る顔に、無邪気な笑顔が浮かべられた。



「っ・・・・・・・・・・・・、」


シーザの心臓が締め付けられるように、嫌な音を立てる。



「・・・・・・・シーザ?」

「・・・・・何でもねぇ・・・・・」



起き上がろうとするカイルを、シーザが押さえつけた。