「・・・・・・・・・・・掴んだか」
アキは刀を退かす。
少年は腰に力が抜け、その場に情けなくへたり込む。
「・・・・・・・・今日と明日の運を今使っちまったぜ」
右手には、ざっくりと縦に皮膚が割れていた。
(一太刀を、受け止めた。刀身を掴むなど聞いたことが無い。肩をも切り落とす威力の刀で手を切っただけ?何て常識外れだ)
しかも、たまたまと来た。
「お前の剣、重い」
「今のは本当にまぐれなのか」
「あぁ、そうだよ。手切れたけどな」
少年は顔に冷や汗を大量にかきながら、人懐こい笑みで笑って見せた。
アキは少し眉を寄せ、考えに耽る。
(動体視力を磨けば、更に実力は上がるか?)
目の前の少年は、もしかしたら実力を秘めているかもしれない。
たった一回太刀を受けれただけの少年に、可能性を託してみるか?
金目が力強く開けられた。
その無音の威力にアキの体に鳥肌が立つ。

