「・・・・・・・・・あぁ。何だお前、今頃腰使えなくなったのか?」
「船長が初心者相手に本気になるからでしょう。はい、一応カイルは渡しときます」
アルがカイルをベッドに下ろす。
「兄ちゃんは今からどっか行くのか?」
「船長次第。」
カイルは詰まらなさそうに壁に凭れながら、アルを見上げる。
「んー、そうだな。お前はもう下がっていいぜ」
「分かりました」
アルがカイルに少し笑いかけて、部屋を出た。
「今、ここどこだ?」
「俺もずっと寝てたから分かんね。多分、見るからには隠れ処の近くだろうけど・・・・」
「・・・・ふうん」
カイルがベッドに沈み込む。
「・・・お前、隙あらば逃げ出そうとしてんだろ」
「・・・・・・してない」
「いやいや、顔がそう言ってんぜ?いつ逃げれるか、みたいな」
「してないって」
鬱陶しそうに、カイルは足でシーザを追い遣った。
「行儀悪ぃな、この足」
「うわっ!!シーザに行儀悪いとか言われたくねぇし!」
カイルの足首を掴んで、引き寄せる。
ぐい、とシーザを蹴ってカイルが離れようとする。

