ボクは桜、キミは唄う

「なんか、久々だね」

柚木君が恥ずかしそうにうつむきながら言う。

「うん」

「あ、そうだ昨日、清水さんから、これ……」

柚木君は、ポケットから私が書いた手紙を出した。

「全部聞いたよ」

「うん。私も、さっきナオちゃんから」

「てことはさ、これさ、これ……佐々木のじゃない?」

柚木君は、私の校章を指差す。

「これ?佐々木君の?何で??柚木君がくれたやつだよ。そのまま……持ってて……」

「はぁ。そっか~」

なんだよ~って、柚木くんは嬉しそうに微笑んだ。

「あ、そうだ。昨日どこ行ってた?俺、清水さんから聞いて、ちゃんと話さなきゃと思って、昨日家行ったんだよね」

「私も!」

「え?」

「私も、昨日、みんなと分かれてから柚木君の家に行ったの」

「俺んち?何時頃?」

「夕方から、8時過ぎくらいまで」

「マジで??」

あの後真っ直ぐ帰れば会えたのか~と柚木君はうなだれる。

「電話してみたけど出ないし、しょうがないかーと思って、俺、帰る途中に新の家寄っちゃったんだよね」

「私はまだ昨日はナオちゃんから全部聞いてなかったから、不安で。待つしか出来なくて。

携帯もね、充電切れてること気づかなくて、朝になって電源落ちてることに気づいて。それで充電したまま家に置いてきちゃって。

ナカちゃんからメールのこと聞いてビックリして」

「じゃあ、俺の送ったメールも見てないの?」

「うん」

「なんだぁ。マジで避けられてるかと思った。って、そうさせるようなこと言ったの、俺だけどさ」

ふぅと、柚木君はそのままその場にしゃがみこんだ。