ボクは桜、キミは唄う

私はそのまま、柚木君の姿を探して廊下をあちこち走り回った。

そして聞こえた、階段の踊り場からの話し声に耳を済ます。

またさっきと同じように苦しそうに繰り返す「ごめん」という声。

柚木君だ。

こっそりと覗くと、田辺さんと柚木君が向き合って立っているのが見えた。

どうしよう。

見つけたはいいけど、こんな大切な告白の時に、乗り込んで行くわけにはいかないし。

ここで待ち構えてるのもなんか違う。

でも、ここを離れるとまた行き違いになって会えなくなってしまうかも。