ボクは桜、キミは唄う

「それ以上柚木君の、楓花ちゃんを待つ姿見たくなくて、工藤さんなら、佐々木君と一緒だよって」

「え?」

「最近付き合い出したみたいだよって。だから、そこにいたら迷惑だから帰るように伝えてほしいって頼まれたって、私言っちゃった」

「ナオ、あんた何を!!」

ナカちゃんが怒鳴る。

「ごめん。ごめんなさい!!だって、悔しくて。私も柚木君が好きで仕方なかったから。でも、それからずっと罪悪感でいっぱいで、楓花ちゃんに謝らなきゃって……」

それで、ナオちゃん、ずっと元気がなかったの?

「音楽室にいる楓花ちゃんにも帰るように何とかしなきゃって思ったら、偶然佐々木君を見つけて。

チャンスって思ったの。

でも本当は何度も迷っていたの。今ならまだ引き返せる、こんな事していいわけないって……でも、今度は二人に嘘がバレて嫌われるのが恐くなって」