ボクは桜、キミは唄う

「なんか、ごめんね。私、てっきり楓花ちゃんは柚木君のこと忘れて、佐々木君とうまくいってるんだと思って……」

二人がいなくなってから、あきちゃんが謝る。

「ううん。私たちこそ、せっかくサプライズで開いてくれた打ち上げ、台無しにしちゃってごめんね」

いつの間にか、人数が半分になってしまってる。

部屋に戻ってもなんとなく静かで寂しい。

「また今度、みんなで集まろうか。今日は帰ろう。工藤さん送るよ」

佐々木君が立ち上がった。

送ってもらうわけにはいかないけど、確かにこの状況、沈黙が息苦しい。

それに、アキちゃんと彼氏を二人きりにさせてあげるのもいいのかも。

「うん。ごめんね。また遊ぼう」

私も、佐々木君と一緒に立ち上がった。




アキちゃんと彼氏を残して、私と佐々木君で歩く帰り道。

「俺としては、あの噂、感謝だけどね」

佐々木君がさっきの話をぶり返した。

そして、もう一度伝えられる気持ち。








「俺、好きだよ。工藤さんのこと。今でも」