ボクは桜、キミは唄う

「俺は、案外楽観的だから、色々考えてるとめんどくさくなって、まいっかって思っちゃうんだけど。

遥斗はー、あいつは、自分の気持ち押し殺して相手の為に1番いいと思うことをしちゃう奴なんだよ。

遥斗のことちゃんと見てきた工藤ちゃんには、わかるよね?」

「……うん」

「だからさ、表面上の言葉だけを信じるんじゃなくて、あいつの本心見抜いてやってよ」

言葉じゃなくて、本心?

「ちゃんと見てたらさ、俺、あんなに正直で、分かりやすい奴いないと思うんだよね」

「……」

「全部忘れてってさー……あいつ、どんな顔して言った?」

どんな、顔?

柚木君の表情を思い出していると、フッと笑った北川君は、2階に向かって

「帰るぞー!」

と叫んだ。

「話終わったの?」

すぐにナカちゃんが顔を出す。

「おぉ」

「楓花、大丈夫?」

鞄を持って下りてきたナカちゃんが心配そうに私の顔を覗き込む。