ボクは桜、キミは唄う

「入試の次の日だよね?」

佐々木君が確認するように私の顔を見て言った。

「うん」

「ちょっと待って。ナオからの伝言でしょ?あやしくない?騙されてるんじゃないの??」

「確かに、ナオ、今日もなんか柚木君来てからソワソワしてたかも……」

アキちゃんまでも疑い始めていた。

でも、違う。

センブ、ワスレテ

そう言ったのは、紛れもない柚木君、本人。

「違うよ。騙されてなんかいないの。私、直接確かめたくて伝言もらってから柚木君を追いかけたの。でも」

「でも?」

ナカちゃんと北川君が前のめりになって聞いてくる。

「全部、わす……」

そこまで言うと、ブワッと涙が込み上げてきた。

「ちょ、ちょちょちょっと、楓花~?」

「全部、わ、わす、忘れてって……」

涙をこらえて、震える声でなんとか伝える。



全部、忘れて



その言葉を繰り返すと、本当に現実なんだなって思い知らされて。

苦しい。

「遥斗が、そう言ったの?」

北川君がいつになく真面目な顔をして訊ねる。

私はコクンと頷いた。