ボクは桜、キミは唄う

「K高?」

柚木君が?まさか……

「落ちたらカッコ悪いからって、アイツが口止めするからさ」

北川君が眼鏡を外して、髪を整えながら答える。

「ちょっと待って、高校全員受かったって言ってたよね?」

この部屋に入ってすぐ、ナカちゃんとアキちゃんで話してたはず。

「全員合格って、柚木君もK高に受かったの?」

「まぁ、いまさら受かったところでお前らはどうにもなんないんだろうけどね」

北川君のその言葉は、柚木君のK高合格を意味する。

「ちなみに、俺もK高。陸上の推薦枠がひとつ余ってて、俺はさすがに頭伴わないと思って、山崎に頼み込んで推薦とってもらったんだよ」

「コイツもずっと黙ってて昨日言うんだよ!もうビックリした!」

ナカちゃんが、北川君のお腹をボンッと叩く。

北川君も?

柚木君も?

K高?

だから、家庭教師つけたり、図書室であんなに頑張ってたの?

「うそ……」

もう、同じ学校に通えるのもあとわずかだと思ってたのに。

また3年間、同じ学校で柚木君を見ていられるって考えると、フラれてもうピリオドを打ったはずなのに、大好きな想いが込み上げる。

「なんのために、あのバカが死ぬもの狂いで勉強したのか、楓花ならわかるよね?」

なんのため?

私は、音大を目指したいと言った。

柚木君は……

「陸上部?陸上のために?」