ボクは桜、キミは唄う

「何さ、いつもいつも逃げてばっかりで、たまには本気出してみなよ?」

だって追いかけようとしたら、柚木君は困るだけだもん。

「無理だよ。ナオちゃんも行っちゃったし」

「あんたがモタモタしてるからでしょ?いつまでもウジウジ。だからナオに先越されるんだよ」

「だって」

「だってじゃない!」

「だって!」

「何さ!」

私はフラれた悲しみと、自分の無力さ、ナカちゃんに対する苛立ち全てがごちゃ混ぜになり、

「何も知らないくせに!」と、むきになってしまった。

「知らないのはどっちよ?あんた柚木の七三知らないでしょ?」

へ?

「七三?」

「七三にメガネ。ちょっとあんた再現して」

ナカちゃんは北川君を引っ張る。

「え?このタイミングでカミングアウト?せっかくここまで引っ張ったのに?」

「だってもう我慢出来ないよ」