ボクは桜、キミは唄う

「ね、もしかして柚木も誤解してるんじゃないの?」

ナカちゃんは私にそっと耳打ちしてきた。

誤解?

誤解してるだけなら、どんなにいいだろう。

むしろ佐々木君と付き合ってる事になってた方が、柚木君にとっては都合がいいのかも。


──センブ、ワスレテ


そう言ったのは、柚木君なんだから。

北川君は慌てて窓を開けると、

「遥斗!」

と、柚木君に向かって叫んでいた。

けど、もうすでに遠くまで行ってしまってる柚木君には届かないみたい。

外からは何の返答もなかった。

「楓花、追いかけな。誤解してたら困るからさ、ちゃんと言っておいで」

ナカちゃんが言うけど、そんな事、もうできるはずなんかない。

2度もしっかりとフラれてるんだから。

今さら佐々木君とは付き合ってませんと言ったところで、何も変わるはずなんかないんだ。

「私が」

突然立ち上がったのは、ナオちゃんだった。

そして、部屋を出ると真っ直ぐ柚木君に向かって走って行ってしまった。