私を苦しめない為に言ってくれたの?

ちゃんと笑えるように、ちゃんと学校に来れるように。

私を守る為に?

そしてずっと……私が柚木君を見つめてきたのと同じように柚木君も見ていてくれたのかな?

『俺と、付き合って……くれない?』

桜の木を背に、始まった私達の恋はまだ有効?

まだここに残ってる。

柚木君のくれた優しさと温もり。

私の手を引いて、歩幅を合わせる柚木君の笑顔。

抱きしめる力強い腕も、触れたオデコも。

全部、全部。

なのに、私は柚木君に何を渡せただろう?

「──私……」

柚木君がくれた「さよなら」が、私を想ってくれての優しさだったのなら。

その優しさを無駄にしない為に、私はもっと強くならなきゃ。

柚木君に心配かけないように。

守られるんじゃなくて、一緒に支え合えるように。

誰かを盾にしたり、引っ張られるのじゃなく、自分の足で歩かなきゃならないんだ。

そして──……