「あ、笑ったな。馬鹿にするといいこと教えてやらないぞー?」

「え?何?何?」

「笑わないか?」

「わ……らわない……です」

「この話を聞いた少年がもうひとりいてな、そいつも最初工藤と同じように馬鹿にしたんだけど。その後、あの桜の下に行って、音楽室を見上げて誓ってたよ」

音楽室?

「あれは、去年の合唱コンクールの日だったな。放課後、音楽室から真っ青な顔して出てくるからさ、見かねて神様の話を教えてやったんだよ」

その少年って、もしかして……?

「んで、誓った後、その少年は俺のとこまた戻って来て、『神様は絶対だよな?』って確認するんだよ」

歩きながら、私達はいつの間にかみんなが集まる広場に到着していた。

「『絶対強くなってやる』って。『あいつが神様じゃなかったら、卒業する時に引っこ抜いてやる』ってさ。神様もたまったもんじゃないよな?」

先生はまた、ニカッと爽やかな笑顔を私に見せた。

『ちゃんと学校来いよ?』

『ちゃんと食えよ?』

最後に残してくれた柚木君の言葉は、精一杯の柚木君の気持ちだった?

『ごめん』

あの言葉は……