ボクは桜、キミは唄う

私達はエレベーター横にある階段へ向かうとダッシュでロビーまでかけ降りた。

ロビーに着くと、間もなくしてエレベーターから柚木君とナオちゃんが降りて来た。

ナオちゃんはまだ目の周りが赤いけど、清々しい顔をしている。

ちゃんと正式な友達になれた風で、柚木君とも普通に話をしていた。

「お前は守る必要ねーな。ぐはは」

北川君はさっきの話を思い出してか、ナカちゃんにそう言うと、大笑いする。

「は?いたいけな女子だよ?守ってよ」

「無理無理。守る前に、お前を見たら敵が逃げてくから大丈夫」

「何それ?」

常に喧嘩腰の二人だけど、お互いに居心地が良さそう。

自然な二人が微笑ましかった。

アキちゃんはロビーに着くなり彼氏のとこへ走って行ってしまった。

みんなで一緒に花火見ようって言っていたけど、邪魔しない方がいいみたい。