ボクは桜、キミは唄う

「清水さん……」

柚木君は困ったように、泣いてるナオちゃんをただ見ていた。

「大丈夫。私は何もしないから。マネージャーみたいにあがいても何もならないってわかってるもん」

柚木君は、ふぅーっと大きく息を吐き出すと

「俺、さ」

静かに話始めた。

「俺……あの時、守りたかったのに、結局何もできなかったんだ。だから、もっとしっかりしなきゃって、思ってる。それがどうすればいいのか、まだよくわかんないんだけど」

「そんなの、柚木君が気にする事じゃないよ?私だったら、柚木君をそんな風に考えさせたりなんかしないもん」

北川君とナカちゃんとアキちゃんが一斉に私を見た。

「守られるだけが女の役割とは思わないけど」

北川君はいつになく真面目な顔をして言った。

『もっとしっかりしなきゃって』

もしかして、柚木君が誰とも付き合わないのは、私のせい?

『柚木君、助けて』

『もう、やだ』

私はひとりで逃げて隠れるだけで。

ただ自分が傷つくのを恐れて、守られるのを待っていただけだった。