ボクは桜、キミは唄う

本気で、必死で、真っ直ぐな告白。

多少強引でも、ナオちゃんの気持ちは柚木君にきちんと届いたはず。

「飴……でも食べる?なんつって」

言葉が見つからなくなったのか、柚木君はニコッと笑ってポケットから取り出した飴をナオちゃんに渡していた。

「なんか、長くなりそうだね」

ナカちゃんが呟いた時。

「はぐらかさないで?」

ナオちゃんはなぜか瞳に涙をいっぱい溜めて言った。

「え……?」

「もしかして……わざと?私が前の陸上部のマネージャーのように嫌がらせしたら困るから?だからわざと関係ない理由を探して私をふろうとしてるの?」

「……」

「私、知ってるよ。私もずっと前から柚木君を見てきたんだもん。だからマネージャーが何をしたかも全部知ってる。そういうゴタゴタに疲れて楓花ちゃんをふった事も」

ナオちゃん、全部知ってたんだ。