ボクは桜、キミは唄う

「しっ」

もう聞く気満々になっているナカちゃんが、アキちゃんに向かって人差し指を立てる。

ドキドキドキドキ……。

こんな事していいわけない。

わかってるけど、柚木君の答えが気になる。

聞くのが怖い気持ちと、半々。

「やっぱり……行こうよ」

罪悪感が勝って、ナカちゃんの手を引っ張った時、ナオちゃんの声が聞こえてきた。

「私、あ、名前、えっと、清水ナオって言います」

「いきなり自己紹介かよ」

北川君が遠くから突っ込んだ。

「くくっ。知ってるよ?」

柚木君も笑っていた。

その笑顔があまりに優しいから、胸の奥がキュッとなる。