ボクは桜、キミは唄う

「おぉ、遥斗!この女マジムカつく」

北川君もご立腹だ。

「どうでもいい女とキスするかっつーの!こんなけ我慢してきたんだから、1回くらいさせろよなぁ?」

あ。キス迫られた?

「な、なな何考え方てんの?このドスケベ!!」

「忘れたか?後悔しても遅いからな。ぶひひっ」

北川君は大笑いしながら、呆れ顔の柚木君の肩に腕を回し、歩き出す。

なんか、北川君らしい。

「信じられない、アイツ!!」

ナカちゃんは真っ赤な顔をして怒っていた。

「後悔しても、離さないだって。どうでもいい奴とキスなんかしないだって。口は悪いけど、メチャクチャ愛されてるね。にひひ」

私がそう言うと、ナカちゃんはさらに真っ赤になる。

可愛い。

「てか、なんで楓花、涙目なの?」

「え?あ、だって」

「あんたが泣くとこじゃないのに。本当お人よし」

お人よしとかそういうんじゃないもん。

大事なナカちゃんの事なら、私は自分の事のように嬉しいんだ。