ボクは桜、キミは唄う

ドキドキドキドキ……。

二人のこの先を考えると、自然と私の胸まで高鳴る。

ドキドキドキドキ……。

ドアを締める瞬間、そっと振り向くと、ナカちゃんの姿は北川君の背中で見えなくなっていた。

私はなんだか胸が詰まって、アキちゃんにもたれて号泣してしまった。

長い長いナカちゃんの片想いが今終わったんだね。

いつまでも意地っ張りな二人だから、時間がかかりすぎたけど、やっと。

「良かったね」

アキちゃんも少し涙ぐんでいた。



「あ、柚木君」

ナオちゃんが柚木君の名前を呼んだ。

心配で見に来たのかな。

柚木君は少し離れた所からこっちを見ていた。

「大丈夫だよ。今、抱きあってるの見ちゃった」

アキちゃんが柚木君に向かってピースする。

「柚木君、花火見に行こう」

ナオちゃんは柚木君に近づくと、また袖口を引っ張って上目遣い。