ボクは桜、キミは唄う

「あ……」

一緒に駆け寄って来た山崎先生が、なぜか北川君じゃなくて、三浦先生を止めた。

そして、持っていたメガホンを北川君に渡し、行け!と言わんばかりに窓を指差し、満足気。

「おい、ナカ!」

突然大きくなった声に、ナカちゃんはビクンと体を揺らした。

「なんで声でかくなったの?」

「山崎先生がメガホンを渡した」

「は?」

「ナカ!お前ふざけんなよ!勝手に言いたいこと言って。俺が……」

北川君は一度メガホンを下ろして考えると、

「俺が何の為に諦めたかも知らねーくせに、バカヤロー!」

一気に胸の内を話し始めた。

「俺なんかに捕まったら、お前の人生、お先真っ暗だろーが!こんなバカヤローなんかほっといて、なんでいい男捕まえないんだよ?見る目なさすぎだろ!」

「な、ナカちゃん……」

ナカちゃんは黙って体育座りしたまま顔を隠していた。