ボクは桜、キミは唄う

良かった。

ナカちゃんが笑ってくれると、私の心も和むんだ。

「中里真菜!!出てこいコノヤロー!!」

突然窓の外から北川君の叫び声が聞こえてきた。

窓から外を見下ろすと、広場で北川君が客室のある窓に向かって声を張り上げている。

先生からは解放されたみたいだけど、そんな大声出したらまたすぐ先生に捕まっちゃうのに。

「聞いてるのか!?コノヤロー!!なんださっきのは!言い逃げかよ?ずるい事してんじゃねーよ!」

「ナカちゃん、どうする?」

私は窓の外と俯くナカちゃんを交互に見て、ハラハラ。

あ、先生に捕まっちゃう。

向こうから北川君の担任の三浦先生が走って来るのが見えた。

「ナカちゃん、また北川君先生に捕まっちゃうよ?行かなくていいの?」

「あのバカ。出ていけるわけないじゃん」

た、確かに。

あの喧嘩ごしはないと思う。