ボクは桜、キミは唄う

ねぇ、ナカちゃん知ってる?

ナカちゃんが北川君を見てきたのと同じだけ、私も北川君を見てきたんだよ。

だって、柚木君と北川君はいつも一緒にいたんだもん。

だから私にはわかる。

さっきだって、部屋に迎えに来た時も、押し入れに入る時も、UNOをする時も、北川君は当たり前のようにナカちゃんの隣を確保してたじゃない?

それで気づかないナカちゃんは、私なんかよりずっと鈍感なんだ。

ううん。

もしかしたら、みんな、自分の事になると鈍感になってしまうのかも。

「ナカちゃん。さっきの告白、カッコ良かったよ?私が男なら絶対惚れるもん!もし北川君がナカちゃんを振るような事があったら、私がただじゃ済まさないよ。だから大丈夫!大船に乗った気分で」

「沈没寸前じゃん」

プッと、ナカちゃんが吹き出した。