ボクは桜、キミは唄う

部屋に戻ると、真っ暗闇の中に、ナカちゃんが1人で体育座りしていた。

「ナカちゃん?どうしたの?北川君は?」

「知らない」

へ?

「さっきナカちゃん追いかけて、北川君走って行ったんだよ?会わなかった?」

「追いかけてきたから、女子トイレに逃げ込んだの。そしたら、あいつ、『出てこい』って大声出して、先生に見つかって連れてかれた」

えーっっ!?

「何で逃げたの?ナカちゃん、北川君とちゃんと話さなきゃ」

私は慌ててナカちゃんの手を掴むと、

「北川君探そう?」

引っ張った。

「ダメ。無理だよ。楓花、どうしよう?私もうだめだ。なんで、あんな事言っちゃったんだろう?絶対バレちゃったよ。もう友達でもいられない」

ナカちゃんは半泣きで、私にすがるように言う。

「大丈夫だよ」