ボクは桜、キミは唄う

「あ、れ?そっか……」

柚木君はまたポリポリ頭をかきながら答える。

「やだ、もう。もうすぐ集合時間だからさ、しおり取ったらロビーで待ってるね」

ナオちゃん、柚木君と花火見る約束したんだ。

「あ、楓花ちゃん、お腹大丈夫?」

「うん」

「でも念のため部屋で休んだ方がいいよ。私、先生に言っておいてあげるから」

「う、ん。ありがと」

「さ、行こ」

ナオちゃんは私の腕を掴むと、引っ張りながら

「私、今日告白する」

小声で言ってきた。

そして、

「いい?」

私に確認する。

そんな事聞かれてもダメなんて言う権利、私にはないのに。

何も言えずにいると、

「お願い。邪魔しないでね」

真っ直ぐ私を見て、ナオちゃんは真剣な表情をした。

本気なんだ。