ボクは桜、キミは唄う

やっぱり、なんか

「ごめん」

「ぶぶっ。素直だね。そんな工藤さん見てたら、応援したくなっちゃうじゃん。損だな、俺。なぁ、柚木?」

柚木?

佐々木君は何を思ったか、後ろを振り返ると、柱の影に向かって話しかけた。

「佐々木君?どうしちゃったの?」

不思議に思って私も柱の影を見つめると、そこから柚木君がバツ悪そうにニョキッと 顔を出した。

柚木君?

「柚木と一緒なら、お腹も痛くならないでしょ?」

佐々木君はまた、はぁとため息をついてから言うと、柚木君の肩をぽんと叩き、来た道を戻って行ってしまった。

柚木君は頭をポリポリかきながら黙ったまま。

どうして?

どうしよう?

頭の中がぐちゃぐちゃ。

お互いに何も話せず立ち止まっていると、

「柚木君、トイレ部屋にあるのに、何でこんなとこまで来てるの?」

後を追いかけてきたナオちゃんが私達に駆け寄ってきた。