ボクは桜、キミは唄う

「やっぱり、柚木?」

2人きりになると、佐々木君は私にそんな事を聞いてきた。

「え?な、何が?」

「どんなに鈍感でも気づくよ。工藤さん、柚木しか見てないし、柚木の事になったら動揺しまくりだもんね」

動揺しまくり?

ばれてる?

「別れてからもうすぐ1年経つのに、まだだめ?」

「……」

何も言えなくなった。

あっさり認めるのもできないし、でも否定はできない。

「あーあ、なんか告白する前にふられちゃったなぁ」

佐々木君は、はぁとため息をつくと、眉を垂らして笑った。

なんか

「ごめん……ね?」

「ま、最初からわかりきってた事だけどさ。そうだなぁ、1年のザリガニの脱皮の話したくらいから、あー柚木に持ってかれたーって思ってた」

「えぇっ?」

そんな前から?

「意外に俺も一途なんだよ?気づかなかった?」

う……。