「へ?きぁ?」

柚木君は私が北川君だと思ったらしい。

でも私の声を聞いて動きが止まった。

「柚木バカじゃんっ。どスケベー!」

どうしよう?と思った時、押し入れの襖が開く音がして、北川君の大きな声が聞こえてきた。

「へ?新?ん?女子も?あれ?ナカ?……じゃ、これは?」

多分キョトンとしてるだろう柚木君の前で、布団から出られずにいる私。

「いとしのエリーだろうが。ぶひひっ」

北川君が大笑いした時、

「もうやめようよ。工藤さんが可哀想だ」

佐々木君が私のとこまで来て、布団をめくった。

「工藤さん、大丈夫?」

「う……ん」

さっき柚木君に布団の上から抱きしめられた感触が抜けない。

トクントクントクントクン。

心臓は速まったままだ。

私はうつむいたまま、柚木君の足元を見つめるしか出来なかった。