ボクは桜、キミは唄う

ガリガリ君を食べ終えて、テスト勉強を始めた私達。

小さなテーブルを挟んで向い合せに座ってノートを開くけど。

目の前に柚木君がいると思うと、勉強に集中出来ない。

さっき感じた柚木君の温もりが忘れられなくて、頬が熱くなる。

なんだか、いつもよりずっと緊張してる。

シャーペンを握る手も緊張から熱くなってる。

私はそーっとノートから視線を上げ、柚木君の方を見てみた。

とたんに絡み合う視線。

「あれ?」

柚木君も、こっちを見てたみたい。

「え、えと、」

私が動揺していると、柚木君も

「あ、暑いね」

慌てて言葉を探す。

「う、うん」

「わかんない問題があって、全然進まなくて」

「あ、わ、私も」

けど、ちらっと見て気づいた。私のノートも柚木君のノートも真っ白なことに。

「勉強……できないね」

漏れた柚木君の本音に、私も頷く。

「……うん」