ボクは桜、キミは唄う

手から柚木君の温もりが伝わる。

「柚木君、私、柚木君の事全部信じるね。これからも、ずっと」

だから、私の事も信じてね。

伝わったのか

「俺も、信じる。騙されないように頑張るよ」

って、柚木君はぎゅっと握った手に力を込めた。

「あ、校章、交換しない?」

うちの学校では、付き合うと校章を交換するというのが流行ってる。

そしたら別れないっていうジンクスみたいのがあって。

柚木君は自分の校章を外すと、私に差し出して来た。

「うん」

私も同じように外し、柚木君に渡す。

柚木君からもらった校章は、同じものなのに全然違う感じがした。

なんだか彼女として、正式に認められる儀式みたい。

胸につけると、そこにいつも柚木君がいるみたいで温かくなった。

私より先につけ終えた柚木君は、嬉しそうにニッコリ笑顔。

私もつられて顔がほころんだ。