ボクは桜、キミは唄う

「あれね、騙されたんだ。手相見れるから手貸してって言われて、出したら『うそ』つって手掴まれてさー」

そこまで言うと、『うぁ、よく考えると俺騙されやすくね?かっこ悪っ!騙されすぎだ』って悔しそうに頭を抱えていた。

「それ……だけ?」

「ん?うん。それだけ。けど、楓花が飯田先輩と寄り添ってるからさ、腹立ってマネージャー連れて家行こうとしちゃったけど……ごめん」

やっとホッとした。

マネージャーに嫉妬していた気持ちがスーッと消えていく。

私は柚木君をしっかり見つめて歩いていけばいいんだ。

ちゃんと話して、ちゃんと信じてく。

「カッコ悪いな。俺」

柚木君が、好きだから。

「柚木君、手、繋いで?」

「人の話聞いてる?」