ボクは桜、キミは唄う

「マネージャーは何で柚木君と一緒にいたの?」

小さな声で聞くと、醜い私に気づかれないように俯いた。

「ん?あぁ。早退したって聞いたからお見舞いって、家に突然押しかけてきたんだ。ただのサボりだから大丈夫って言ったんだけど、なかなか帰らないから角まで送ってっただけ」

「でも、手繋いでたし」

私はチラッと柚木君を見上げ、また視線を落とした。

「ん?あれ?なに?ちょっと妬いてる?」

気づいた柚木君は、なぜか楽しげに顔を覗き込んでくるけど

「ち、違うけど、違う……けど」

否定すると、しょんぼりしたようだった。

「違うの?」

恥ずかしくて気づかれたくなくて、思わず隠してしまったけど。

「違……わない」

柚木君のそんな瞳に見つめられたら隠しきれない。

「なんで、手繋いでたの?」

柚木君は素直になった私を見つけると、ニッと笑って答えてくれた。