ボクは桜、キミは唄う

それから私はゆっくりひとつずつ、朝からの事を柚木君に話し始める。

聞き終えた柚木君は

「マジで?」

と怒りと驚きの表情をした。

「じゃあ高田先輩も嘘ついてた?」

「だって私ずっと靴探してて、ナカちゃんと一緒に3年生の教室行くまで脩君に会ってないもん」

「なんだよ〜。はぁ〜。俺何騙されてんだ〜」

柚木君はそこで頭を抱えてうなだれた。

「柚木君は悪くないよ。私がちゃんと言わなかったから……」

「そうだ、何で隠した?朝すぐ話してくれたら良かったのに」

「だって……」

「だって?」

「マネージャー……柚木君にとっては部活の大事な先輩でしょ?気を悪くしないかとか、考えちゃって。それに本当にマネージャーがしたっていう証拠は」

なかったし──と言うはずだったのに。

突然柚木君が私の片方のほっぺをキュッとつまむから、言いそびれた。