ボクは桜、キミは唄う

柚木君の呼び声が懐かしく感じる。

「柚木君」

私……柚木君じゃなきゃダメなのに。

大好きなのに。

どうしたらうまく伝える事ができるの?

泣きそうになった時、マネージャーに掴まれた手を振りほどいた柚木君は私にかけより、私の手を握った。

そして柚木君の家に向かって私を連れて走り出した。

「いっ、痛っ。ゆ、柚木君、足がっ」

「へ?」

「足が……」

変な引きずり方をしている私の足を見て

「また転んだ?」

柚木君はちょっと呆れたように聞いてきた。

「うん。それで、脩君の肩借りて……」

「あぁ……それで」

少しだけ誤解がとけたのか、柚木君の表情が和らいだ。