ボクは桜、キミは唄う

また変な噂が流れるかも。

助けてくれた脩君には感謝してるけど、これ以上誤解される事は避けなくちゃ。

慌てて脩君から離れると

「ありがとう。もう大丈夫だから」

外靴を受け取り、急いで履き変え、走り出した。

──のに。

ズダダダダーンッ。

まただ。

何もないところにつまづいた私は、そのまま思い切り大の字で寝そべる状態になってしまった。

「くくっ。足動く?送るよ」

そしてまた変な捻り方をして、脩君の肩を借りないと歩けない状態に。

「大丈夫!ひとりで帰れるから」

でも、柚木君と約束したばかりだもん。これ以上脩くんの近くにいちゃダメだ。

「危ないって」

「大丈夫」

私は脩くんの手を振り払って、片足でケンケンをして帰ろうとした。

けど、バランスを崩してまた転びそうになるのを脩くんに助けてもらう。

あぁ、私、何やってるんだろ。

今度は情けなすぎて涙が出る。

「うぇ?また泣いちゃう?くくく。楓ちゃん、可愛いなぁ」