ボクは桜、キミは唄う

「やりそうだな〜と思って、中休みにあいつの後つけたら、やっぱり楓ちゃんの外靴狙ってたからさ。とりあえずそれは止めたんだけど、またされたら困ると思って俺が預かってたんだ」

マネージャーが、外靴まで捨てるところだったんだ。

こんなに人に憎まれたのは初めてで、胸の奥がキュッと痛んだ。

「けど、さっき話つけてきたからさ、もう大丈夫だよ」

「話……?」

「うん。ごめんね。楓ちゃん来る前に靴返そうと思ったのに、ちょっと話長引いちゃって」

「脩君」

ホッとしたのと、脩君を見てまた柚木君の怒った顔を思い出したのとで、再び私の目から涙が溢れ出る。

「楓ちゃん、大丈夫。これからは俺がついてるからさ。ね?」

しばらく脩君に慰められていると

「やっぱり。ちょっと見て」

周りからヒソヒソ話す声が聞こえてきた。