ボクは桜、キミは唄う

教室のドアを開けると真っ先に柚木君と目が合った。

「ちょっと柚木、あんたマネー……」

怒りを抑え切れずに言い出すナカちゃん。

私は慌ててナカちゃんを止めた。

「まだマネージャーがしたって言う証拠がないから」

もしかして勘違いだったら……。

「証拠なんか必要ないよ。見た?あの悪そうな顔、絶対あいつしかいないって」

悪そうな顔って。

顔が証拠にはならないと思う。

こそこそ話してるのを、柚木君が不審そうに見ているのに気づいた私は、とりあえず何事もなかったかのように柚木君の近くへ向かうと、おはようを言った。

「何、こそこそ話してんの?」

「え?あ、えっと……ちょっと」

「来るのも遅くない?」

「う、ん。あ、寝坊した」

「俺来た時、外靴あったけど?」

「え?あ、うん。あの」

あぁ、なんて嘘が下手なんだろう。