【月曜日】



「俺ってそこそこ見栄えがいいでしょう」

「…企画案のチェックお願いします」

「結構モテるしモテる努力もしてきたわけですよ」

「……………」

「女性にうける髪型とか、ファッションとか、小物とか、香水とか。
めちゃくちゃ頑張ったりしたわけです」

「…チェックをお願いします」

「どこにいても目立つし匂い立つ男。そう言われはじめた時嬉しかった…でもね…ふと、
虚しくなったんだ」

「……なんでです」

「だってそれ、つくられたもので俺自身じゃないんだから」

「…………」

「俺何やってるんだろう。

何がしたかったんだろう。

何になりたかったんだろう。

何が欲しかったんだろう。

自分を見失ってた」

「……………」

「そんなふうに鬱に入りそうな時に、君が誰かと俺の話をしているのが聞こえたんですよ。

誰かは君に、俺のことをどう思う、みたいなことを聞かれてた」

「…覚えがありません」

「うん。
でもこの台詞は覚えてると思うよ。

君はこう聞かれた。

『遠野さんってフェロモンむんむんだと思わない!?』

そして君は
こう答えた。

『…トイレの芳香剤みたいですよね』」


「……………」



「…衝撃だったな」



「…し、資料チェックありがとうございました」


「あ、ちょっと待…」