八重子の肌は白い。

日に焼けるとすぐに赤くなる。

そしてまた白く戻る。

同級生の子たちが、夏にこんがりと日に焼けるのを見ると少しうらやましい。


千代もそんな中の一人だった。


千代は、小柄な女の子だ。

教室の華やかな和の中には、千代が必ずいる。

黒く艶のある髪の毛を、八重子と同じおさげにしているが、まるで別物のようだ。

八重子のうちも貧乏というわけではないのだが、千代の家よりは数段劣る。

千代の家はこの界隈でも有数の名家だ。

だからなのか、やはり千代にはお嬢さまと呼ぶに相応しい雰囲気がある。

そんな千代とおしゃべりをすると、千代がにこりと笑う度に、八重子の胸に甘い痛みが走るのだ。