思い出す度、胸が苦しくなって。


―――...あの人、あの日々を思い出す度。


なんて、今は思い出しちゃいけない。


私は、痛む胸をぎゅっと押さえて、美術室の中の様子を見渡した。


綺麗な水彩画を描いている人、色鉛筆で絵を描いている人、いろいろな人が居た。


「雪奈、その子が新入部員の子!?」


一人の子が、片手に筆を持ちながら私たちの元へ笑顔で駆け寄ってきた。


え、雪奈、もう新入部員なんて言っちゃったの?