「うーん、今は特にないかな」


「そっか」


そう言って何かを考えるような顔をした後、あっ、と思いついたような顔をして言った。


「あのねあのねーっ、1時間目英語でしょ、その先生めっちゃカッコいいんだよー♪」


ドクン。


“先生”という言葉に心臓が一つ嫌な音を立てた。


ダメ。思い出しちゃいけない。


嫌な過去なんて忘れるんだ――。