しばらく歩くと突然、不思議なものが目に飛び込んで来た。
それは店のようだったけれど、道に迷っていることも忘れてしまうくらいに、奇妙な店だった。
店の名は──
「思い出…博物館?何だろう、これ」
僕は半分、好奇心で店の扉に手をかけた。木で出来た扉はたてつけが悪くなっているのか、ガタガタ音を立てながら、やっと開いた。
店の中は例えるならば、骨董品店のようなイメージ。せまい店内に棚や硝子ケースがあり、そこに色々なものが所狭しと置かれている。
一言で言うならば――、
うろんな場所。
そんな風にしか言い様が無い。それより、うろんって言葉自体、いまや骨董品並に古いよな……。
「いらっしゃいませ」
そんな下らない考えに思いを巡らせながら周りを眺めていると、主人だろう。背の高い男性がにこやかに笑いかけてきた。
「あの、ここはどういう所なんですか?」
当たり前の率直な疑問を投げ掛けると、主人は笑いながら言った。
「入り口には何て書いてありましたか?」
「思い出博物館…ですか?」
「そうです、要するに…人の忘れてしまったものの展示を行っております。例えばそれは━━、机の引き出しの奥にあって、記憶から忘れられているもの。…そういったものです。所有者本人が思い出せば、ここからは消え本人に戻りますが」
「ここは保管場所っていうことですか?」
僕は主人の言葉に混乱しつつ、精一杯理解しようと努めた。それに主人が頷いたので少し安心した。
それは店のようだったけれど、道に迷っていることも忘れてしまうくらいに、奇妙な店だった。
店の名は──
「思い出…博物館?何だろう、これ」
僕は半分、好奇心で店の扉に手をかけた。木で出来た扉はたてつけが悪くなっているのか、ガタガタ音を立てながら、やっと開いた。
店の中は例えるならば、骨董品店のようなイメージ。せまい店内に棚や硝子ケースがあり、そこに色々なものが所狭しと置かれている。
一言で言うならば――、
うろんな場所。
そんな風にしか言い様が無い。それより、うろんって言葉自体、いまや骨董品並に古いよな……。
「いらっしゃいませ」
そんな下らない考えに思いを巡らせながら周りを眺めていると、主人だろう。背の高い男性がにこやかに笑いかけてきた。
「あの、ここはどういう所なんですか?」
当たり前の率直な疑問を投げ掛けると、主人は笑いながら言った。
「入り口には何て書いてありましたか?」
「思い出博物館…ですか?」
「そうです、要するに…人の忘れてしまったものの展示を行っております。例えばそれは━━、机の引き出しの奥にあって、記憶から忘れられているもの。…そういったものです。所有者本人が思い出せば、ここからは消え本人に戻りますが」
「ここは保管場所っていうことですか?」
僕は主人の言葉に混乱しつつ、精一杯理解しようと努めた。それに主人が頷いたので少し安心した。

