「光が持たないんだ……奏!早くここから逃げて!」

「だっ…だめ…!私だけじゃ翔を連れていけないっ……!」


ぐったりと倒れている翔は目を覚ます気配がない。
悪魔が抜けてから全く動かないのだ。


「翔は大切な友達なの!置いていけない!」


そう言っている間に亀裂が大きくなっていく…

エイメルが小さく奏に言った。


「じゃあ奏、壁が壊れたらあの天使を呼んで逃げて!」
「エイメルだめだよ!エイメルがやられちゃう!」

「僕も恐いよ!でも…僕は奏を守る天使なんだ!!」


エイメルが奏の前に立つ。


「だから…早く逃げて!」
「エイメルッ!やめて!!」


パキィーンっと透き通った音がして加護の光は砕けた。


『ぎゃうっ』

「奏に手をだすなー!」
「っ…手伝って!赤い子!」


翔と奏は天使に助けられ、その場を離れる。
奏が走り出そうとするのを天使が止めた。


「離して!」
「あんたに何が出来るんだよ!あんたは人間だ、私達天使とは違う!」


天使は矢を射ったが悪魔の体に弾かれる。


「うわぁっ!」


とうとう悪魔に振り払われてエイメルが地面に落ちた。


「あぅ…ぅ……」
『ぎゃぅぅぅっ!!!』


悪魔が凶悪な爪を振り上げた。


「エイメル!」
「いやっ!エイメルーーっ!!」


奏が叫び爪が振り下ろされようとした、その時








「聖神剣、『舞』!」





悪魔の動きが止まった。



エイメルの前には一人の人物。




「やぁ、遅れてすまなかったね」


その天使は小さく微笑んだ。