また雨か…


私の大っ嫌いな天気…




部屋の窓を少女は見つめる


私の名前は乙葉奏(オトハカナデ)

今はお父さんと二人暮しをしてる。
お母さんは私がまだ小さい時、雨の日に事故死してしまった。
今はもう昔の事って、自分に言い聞かせてる。
でもやっぱり雨の日はお母さんを思い出す。

だから雨の日はいつもこう言ってる。







「「雨なんて大っ嫌い」」







雨の中、少年は傘もささずに呟いた。

水で濡れてびしょびしょの短い髪が、うっとおしく顔に張り付く。

「…」


しばらく黙り、そして美しく輝く白い羽を広げる。
その姿は天使の様だった。


「さぁて…天気が良くなり次第、探さなくちゃ。僕の……」


雨音で最後の言葉は掻き消える。
少年の天使は雨で曇った空へと飛び立った。







「…あれ?」

奏が窓を開けた。
窓から容赦なく雨水が侵入する。
奏が拾いあげたのは白い羽。

「きれい…でも…こんな雨で白鳥が…?」







えーと、鳥じゃないんですけどね。