「? 高野、こんなストラップつけてたっけ?」
鞄には、この前までなかったテディベアのストラップ。
「ぁ…これね、ペアストラップなの」
「ペア…って、相手は?」
「もぅ、ずっと前にあげたんだ。小学三年生…かな」
「うわ、古っ」
「…あたしね、急に転校することになって…。でね、転校する前に、悲しくて、寂しくて泣いてたの。そしたら、一人の男の子がね笑わせてくれたんだ。その男の子は、マンションで部屋がお隣さんだった。離れる際に、あげたんだ。
大好きだったの、その子のこと」
嬉しそうに話す高野。
なぜか…
イライラした。
「もう、会ってねぇの? って、離れてるのか」
「ううん。中学のとき、戻ってきたから。
その男の子は、もう…あたしの事覚えてなかった」
「そっか」
その言葉に、
どこか…安心する自分がいた。