とりあえず…待つか。

五分ぐらいすると、ゆっくりと扉が開いた。


「…ご、ごめんなさい…」

「なんで謝るんだよっ」

「だ、だって…その、エプロン姿だったし…」


恥ずかしそうに、モジモジする高野。

俺は、思わず吹き出した。

みるみる真っ赤になっていく高野をみて、さらに笑った。


「熱は? 大丈夫か?」


高野は小さく頷く。

「んじゃ、行くか」

「ぁ…ま、待って!」

「ん?」

「…お、お弁当…その…」


そっと差し出された弁当。

俺は、優しく笑って、

「サンキュ」

そう言って…お弁当を受け取った。

高野は、前みたいに…フワッと笑ってみせた。