「この子のお母さんに頼まれてな。
まぁ…実來ちゃんは、一度も俺に頼ってはこないけどな。
頼るとすれば、今日見たいに、自分のことじゃなくて、実と胡桃のこと。
自分のことはいつも後回し。
今日だって、学校行くつもりだったんだぜ?
38度も熱があるのに、バカだろ」
神野さんは、苦笑いしながら話す。
「…だけど、初めて見たなぁ。
実來ちゃんが、誰かを求めてるところなんて」
俺は、自分の服を掴んでる小さな手を見る。
「よっぽど、信用されてるみたいだな」
「…そんなんじゃないっすよ」
こいつが望んでるのは、俺じゃない。
”京ちゃん”
そう、呼ばれる子。

